自動車輸出物語 

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記載日付:2004年4月9日
ライター:鈴木富司
番号:000-072
タイトル: 海外における自動車部品補給と修理 その4
     (経験のない経理を担当した部品マン)
 
 愛くるしい笑顔が素敵な小柄な青年にあった光景は今でも覚えています。三菱商事本社の事務室内の打ち合わせテーブルでのことです。「人採り鈴木」と言われていた頃ですが、インドネシアで自動車部品の管理をするひとを探していときのことです。この出会いで彼の人生は変わってしまったと思います。1970年のことと記憶します。

 彼の名は五十嵐雄次君。現在は大阪に「シグマスピードショップ」を開き、自動車部品の国内販売、輸出を手広くやっているオーナーさんにおさまっています。Googleでシグマスピードで検索をすると54件もヒットするし、その業界で活躍している様子が判ります。

 当時は三菱系のデーラーで部品やエンジンオイルの販売を担当していましたが海外にでて働いてみたいという人なつっこい青年でした。こちらは、当時未開の国と思われていたインドネシアに赴任をしてもよいという青年に出会ったことに嬉しさを隠しきれず、早速嘱託としての約束事を決めたのでした。

 一方、彼を待つインドネシア側の状況はどうかと言いますと、三菱商事からは中村敬止親分がひとりで頑張っていました。ニューマルワ1970モーターズという三菱車の総輸入販売会社を設立し、ほとんど何も経験のない現地スタッフを抱えて孤軍奮闘をしていました。そこに部品管理の担当者として五十嵐青年は赴任をしたのです。

 まずは、中村さんの圧倒的な迫力に畏怖したというか、それまでに経験をしたことのない世界に呆然としたことは疑いないでしょう。更に、事務所環境も想像外でした。昔、ベンツが部品庫として使っていた木造の倉庫を事務所にしていたのです。窓のない部屋でした。冷房はあったかも知れませんが、電力事情も悪かったから効くはずもありません。さらに停電が多いので、ガスランプを焚いての酷暑の事務室だったのです。

 宿舎は中村さんと一緒の三菱商事ジャカルタ支店の単身寮でしたから、通勤も、事務所でも、夜の食事やカジノ行きもずっと一緒だったわけです。これって結構ストレスだったと思います。歳は20以上離れていたと思います。存在感のある何でも知っている会社のオーナー社長のところに弟子入りしたようなもので、仲間も中間管理職も誰もいない中に放り込まれたようなものだったわけです。

 当時は、部品管理もしなければいけい状況ではあったのですが、他にすることが山ほどあったのです。次々にやってくる三菱自工の技術者の宿舎の設営から、輸入事務、泥棒対策、広告の実施、傘下の販売店の指定、行政に対する対応など、自動車会社がやらなければならないこと全てが中村さん独りにのし掛かっていたのです。高度成長時というのは恐ろしいことで、全くの人手不足ですから、残念なことに経理マンを送ることもできなかったのです。
当然なこととは言え、部品管理をやるものと思って赴任した五十嵐青年に与えられた仕事のひとつに経理の帳簿付けまであったと聞いています。

 考えてみれば彼は英語もインドネシア語も知らないまま、ほとんど予備知識なしに赴任をしたわけです。そこに押し寄せるあらゆる種類の激務の波、それを彼はこなして行ったのです。印象的な逸話が残っています。人も増え、来客も多いと夜は中村さんの独演会になるわけです。彼は、末席でじっとその話を聞いて吸収をしていたようです。更に、その延々と続く会話の最中に、中村さんなどが本社と往復するテレックスの受信、発信の束を読み返して、輸出実務を覚えたというのです。当然、英文も入っています。その後独立したとき部品の輸出商をやったわけですが、そのときに身につけた商売のこつと輸出入の実務が役だったようです。

 彼は自由人的なところがあります。誰も彼を束縛できないでしょう。そしてひとの懐に、にこにこしながら入り込む特技を持っています。苦労をしていることを他人に感じさせないで自分のエネルギーに変換してしまう「ガラチャンエンジン」の持ち主なのです。

 創刊号でこのメールマガジンは中村敬止物語であると書きました。こうやって中村さんを支えたひとたちについても紹介をできるのは楽しいですね。

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 桜が美しかったですね。私の家の近くに小さな桜並木があるんですよ。いつの間にか背が伸びているんです。子供達を育てているときは、桜の背丈までは気付かなかったですね。

 スキマティック・ライターとして書いた原稿が本になるって嬉しいものです。「五感を使って独自化しろ!」藤村正宏著が本屋に並んでいます。昨年9月にでた「集客にはお金はかからないのです」も評判がよくて重版になりました。

 経理・簿記の小説にも挑戦して先週書き終えました。いずれ出版の案内ができる日が待ち遠しいです。

 現在、凝っているのはプレゼンテーションです。仲間といろいろ事業化を検討しています。
 
 
鈴木富司
Schematic Writer
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