自動車輸出物語 

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記載日付:2004年1月16日
ライター:鈴木富司
番号:000-071
タイトル: お葬式にタイの販売店主が駆けつける
 
 昨年12月に大先輩の守田義雄さんが亡くなられました。守田さんは私が入社したときの課長代理で怖い存在でした。能力を発揮されて三菱商事の副社長まで上り詰めた方です。

 どの程度怖い存在であったかというと、入社して間もないときにバンコックから電報が入りまして、課長代理の席に呼ばれました。全く聞いたこともないような英語の混じった言葉で質問をうけたのです。工学部出身の私にはプロフィットとか何とか言われても判らないのです。それも早口でした。すぐ2年先輩の課員が素速く抜け出して外出先の中村さんに電話をしたようです。

 私のインストラクターの中村先生はいすゞ自動車に打ち合わせに行っていたのです。「中村さん、大変です。スーチャンが課長代理につかまりました。やられています。」「そうか、今すぐ戻るからな。」という会話が電話口でなされたようです。京浜東北線で大森のいすゞ本社から丸の内に戻るには結構時間が掛かるのですがすぐ戻ると判断された中村さんには、どの程度の時間、鈴木が説教されるかが判ったのでしょう。

 まあ、新入社員でなくとも守田さんに叱られてびびらないひとは居ないと思われます。頭の回転はずば抜けてよいし、仕事は出来るし、眼光も鋭いのですくみ上がってしまいます。その後も随分と絞られたものです。天敵という言葉がぴったりの関係がずっと続いたものでした。

 部長に昇進されてからも土曜出勤が好きでしたので、毎週のようにコーヒーをポットに入れてお付き合いをしたものです。インドネシアのビジネスモデルの仕組みを契約書にまとめる仕事も入念にされましたね。その入念という概念は普通のひととは違いました。テレックスの原稿を書かれてそれをこちらがローマ字に直すのですが、「さあ、もう一度読んでみてくれ」と言われて読み返すわけです。これで終わったと思ってから、3回くらいは更に修正が入ると悟るまでには随分と時間が掛かったものです。「もう、そんな些細なことどうでも良いではないですか」なんて顔にでようものなら、それから何時間ということもありますから、受け答えにも真剣になったものです。しかし、辣腕検事が犯人の心理を全部読みとるのと同じように、全ては見透かされていたようです。

 お葬式にはタイの販売店店主など何人かのタイ人が参列をしていました。2度のタイ駐在を通じて関係を持った人達でした。40年以上も経ているのにバンコックからお葬式に参列する人間関係を築いてこられたというのはやはりただ事ではないなとの感慨を抱きました。

 お葬式では暫くお会いしていないひとにお会いしました。いすゞ自動車の輸出部で私が入社した当時係長だった北村隆さんです。タイ向けいすゞの輸出草創期を佐藤三郎課長とともに献身されてきた方です。前回ご案内をした東洋経済の記事をフェアーなよい記事であったと高く評価されておりました。その後、公表はできないという但し書きのついた「タイ市場の創業期」1950〜1962.4という北村さんの文章を送って頂きました。お許しを得たらその一部でも転載をしたいと思っています。

 1960年ころ留学生として来日したプラキット君も来ておりました。彼が入国に必要な法務省あての身元引受人としての保証書を中村さんが立派な筆書きで書き上げた光景を昨日のように思い出しました。

 こうやって自動車輸出を支えた大先輩の業績と人柄を思い出していると不思議と守田さんの溢れるような笑顔がいくつもいくつも思い出されます。私には天敵であっても、お客様や外側にいるひとに対する表情や配慮は本当に天使のようでした。そこに商売人としての神髄があったのだとひとの多様性に今更ながら感じ入っているわけです。
                                合掌

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 関東の冬は本当によい天気が続きますね。陽の差し込む雑然とした部屋でキーボードを叩いています。

 すっかり自動車輸出物語の執筆から遠ざかってしまいました。ライターとしての生活に追われているためでしょうか。12月に特許関係の教科書を納め、現在は経理・簿記の小説風解説書に挑戦しています。更に、シニア・マーケッティングを書いてねと言われているところです。メキキの会の特許、個の花リーダー道場、営業頭脳場なども楽しんでいます。

 MACを2年で取り替えました。G4タワー1.2ギガです。OSも、OS-Xパンサーにしました。これは画面が綺麗で気持ちのよい動きをするので気に入っています。
 
鈴木富司
Schematic Writer
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