自動車輸出物語 

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記載日付:2002年3月20日
ライター:鈴木富司
盤号:000-0046
タイトル: 反日暴動への対処
 
 イラクでの戦争遭遇について書きましたが、これは空からの攻撃であり、われわれは、フセインさんの軍隊に守られていましたから、正直余り怖くはなかったのです。弾に当たったら不運とあきらめる世界です。ところが、反日暴動となると、全く話は違います。日本人の企業を焼き討ちしたり、日本人を捜してやっつけようという暴徒が暴れ回るわけですから、それは本当に怖い話だと思います。

 思いますといいますのは、インドネシアで反日暴動が発生したときには日本側にいたからです。中村さんとの連絡役をつとめていたのでリアルタイムでその切迫感は感じましたが、現場での恐怖感はもの凄いものであったと想像しています。会社に短波受信機を持ち込みニュースを収集するとともに、電話がつながったときにはラジオに受話器を押しつけて中村さんに流したのです。中村さんはインドネシア人の部下をあちこちに派遣して情報を集めては電話で私に流してくるわけです。関連会社や留守家族からも安否を照会してきますので、その情報基地になっていました。

 ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、田中首相がジャカルタを訪問したときに、その反日暴動は発生したのでした。突然のことでした。丁度、1000台組立かなにかの記念で工場で式典をしていたときに発生したのです。日本からは三菱自工の荒井斉勇京都工場長が臨席をしておられました。郊外の住宅地にある中村さんの寮に荒井所長を案内して避難をしたと聞いています。途中、暴徒に車を止められて「日本人はいないか」と誰何をされたが、助手席にインドネシア人役員のグネービー氏だったかヘルマン氏が乗り、それを上手くかわして逃げることができたとのことです。荷物を取りに一旦ホテルに戻ったために危ない思いをしたと聞いたか、ホテルに寄らずに逃げたので助かったということだったか、記憶は定かではありません。やはり、伝聞と実際の経験は違うようです。いずれにしても、インドネシアの役職員が身を挺して守ってくれたのです。

 このときの中村チーフアドバイザーの采配は見事であったとのことです。それが、ご縁で荒井所長と深い絆ができ、その後のインドネシアにおける工場の展開には大変熱い思いを寄せて頂きました。何しろ日ごろ超多忙でかつお二人とも、キングオブキングとも言える方です。同じ寮で何日も過ごしたのですから日本側ではどうなることやらと、もっぱら野次馬根性で成り行きを眺めていました。ところが、滅多に人を誉めない、こわーい存在の荒井所長さんがじっと中村さんの采配を側で見ていらっして感服されたのでした。男対男の契りともいうべき関係がそこでできたのです。それ以来、ジャカルタの中村さんのいうことは全て聞いてやれという厳命が生産技術関係者にだされたのです。

 常務取締役になられたあとまでずっとインドネシア・プロジェクトの大庇護者になって頂いたのです。その後を引き継いだ私までも荒井常務さんにはご薫陶を頂き、数々の物語があります。これらは、いずれ書きましょう。

 このときの暴動では、トヨタさんがねらい打ちをされて本社屋とショールームに火をかけられる災難に遭われました。われわれの販売事務所にも暴徒がやってきたのです。ほとんどがバンドンなどの田舎の学生などが動員されトラックでやってきたようです。われわれの販売事務所は市街地にある組み立て工場の敷地内にあり、昔ベンツが部品倉庫にしていた窓もない粗末な建物でした。目立った看板もない事務所ですから、地場のことを知らない学生が押し掛けても判らなかったのです。それに周囲の住民が壁に浮き彫りにされているベンツとVWのマークを指さしてここはベンツの倉庫だと言ってくれたとのことです。日頃、近所の花屋さんや屋台の一膳めし屋もよく使ったし、丁寧な近所つき合いをこころがけていたものですから、住民が一致して守ってくれたとのことです。ひとりでもここが三菱だと言えば、相手はそれが目当てだったわけですから、木造事務所などはひとたまりも無かったわけです。

 その後のインドネシアのいろいろな騒動を見ていますと、大抵仕掛け人がいるようです。トラックを仕立てて暴徒を動員するようなことは自然発生では起こる筈がありません。この暴動も誰が仕掛けたかは知るよしもないのですが、われわれ企業戦士は、そういう凄い世界の前線で身の安全を自分で守っていたのです。田村一彦君という日本人のサービスマンがいました。ここでのたれ死にをしてたまるかと街に出かけたという武勇伝をあとから聞いてぞっとしたことを覚えています。彼は、その後インドネシアにずっと居着いて、すごいセキュリティーの感覚を身につけています。先日の騒動のときに彼の事務所を守った話は徹底したものでした。機会があったら彼に筆をとってもらいたいと考えています。

 
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 今年は櫻が早いですね。気持ちのよい季節を楽しんでいます。

 044号で紹介しました藤村正宏氏がメキキの朝食会で講演をしました。私が推薦をしたものですが、反応が凄くて嬉しい限りです。朝食会のあとのサイン会でも80冊も本が売れて行列ができました。その後のMLにも読後の感想が寄せられています。まだ自信のない若い経営者に勇気を与えたようです。再度ご案内します。
http://www.t3.rim.or.jp/~fujimura/freepalette.html

鈴木富司
larszk@yk.rim.or.jp
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