自動車輸出物語 

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記載日付:2001年6月27日
ライター:鈴木富司
番号:000-0027
タイトル: FAX大作戦

 仕事をふり返って「一番いきいきしてた時は」と聞かれて思いだすのは、困難と思われた事態を解決して乗り切った時です。この物語はその中でも思い出に残る一こまです。

 ずいぶんといろいろなプロポーザルを作成しては、提出期限に間に合わせて来ましたがイランの国産化計画のプロポーザルの提出については強烈な思い出があります。このときの作戦は達成感とともに、良く覚えています。阪田良君という有能な企画者が中心となって書類の作成に没頭をしていました。三菱自動車の水島工場から送られてくる資料をベースに英訳をしたりしながらプロポーザルの体裁を整えていくわけです。いよいよ期限がせまってくるがどうしても締め切りまでに間に合わないという事態になってしまいました。

 そこで、FAXを使って難局を乗り切ろうとの作戦を立てたのです。「作戦」だなんて、今では大げさに思えるかも知れませんが、まあ聞いて下さい。当時はテヘランの事務所にはFAXの機械がなかったのです。駐在員をヨーロッパに出張させて、そこでFAXを受け取らせようという「作戦」だったのです。日帰りで飛んで帰り製本をして提出期限に間に合わせようという訳です。頁数は、数十枚ありました。本当に全頁届くだろうかという心配がありました。そこで、1頁目からはオランダに送り、最終頁からは ドイツの事務所に送るように指示をしたのです。片方が失敗しても、もう一方が使えるとの配慮からでした。何しろ当時のFAXは不安定で数十枚も送ると機械が焼き切れる心配があったのです。同じ街の他の事務所を探す時間もなく、オランダとドイツという風に、分けたのです。

 案の定、オランダの事務所の機械が途中でダウンしてしまいました。そこで、ドイツの駐在員にお願いして、スイスの空港に運んで貰いました。オランダで、前半分を受け取ったテヘラン駐在の服部君がスイスの空港で後半を受け取ってテヘランに戻ったわけです。どうですか、いかにも国際商事会社らしい作戦でしょう。勿論期限には間に合いました。E-メールに添付して送れる時代では、こういう離れ業は味わえないですね。仕事の達成感も他のところで味わうのでしょうね。

 この時、感動した記憶がもうひとつあります。山本咲子さんという女子社員が夜遅くまで阪田君の手伝いをしていたのですが、12時近くなったので、帰宅させたわけです。そうしたら、丁度作戦が成功して見通しがたった頃、そう夜中の2時を回っていたと思うのですが、事務所に電話が入り、結果はどうなったでしょうかと心配をして掛けてきてくれたのです。感動しましたね。本当に、みんなで喜びを分かち合えました。

 その時の、プロポーザルに折り込んだ統計も忘れられないものです。国別のGNPと車の生産台数の関係を見いだそうと、いろいろ数字をいじっていたのです。そのときに、ふと思いついてドルのインフレ率を加味して作成しましたらびっくりするほど、ある直線に乗るのです。こんなにも、綺麗な関係があるのかと思い知らされました。この手法はその後もいろいろなところで、使いました。

タイ、インドネシア、イラク、イラン、モロッコ、ナイジェリア、サウジ、中国など、随分国産化計画のプロポーザルをつくりました。それぞれに、いろいろな思い出があり、物語があります。

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